ここまで、税理士業界が直面する課題と、なぜLINEが必要なのかを見てきました。しかし「LINEがBtoCで有効なのはわかるけど、BtoBでも本当に機能するの?」という疑問を持たれる方もいるでしょう。

この章では、BtoBマーケティングにおけるLINEの位置づけを明確にし、税理士法人というビジネスモデルに最適である理由を解説します。

BtoBマーケティングにおけるLINEの位置づけ

BtoBマーケティングを理解する上で欠かせないのが、「カスタマージャーニー」という概念です。これは顧客が商品・サービスを知ってから購入に至るまでの一連のプロセスを可視化したものです。

BtoBにおける一般的なカスタマージャーニー

BtoBビジネスでは、購買までのプロセスが長く複雑です。一般的には以下の段階を経て契約に至ります。

認知 → 興味・関心 → 情報収集 → 比較検討 → 意思決定 → 稟議・承認 → 契約 → 継続利用

より簡潔に表現すると、次の5段階になります。

【認知段階】

  • 「こんなサービス・専門家がいるんだ」と知る
  • Webサイト、広告、セミナー、SNSなどで初めて接触

【興味・関心段階】

  • 「もっと詳しく知りたい」「自社に役立つかも」と関心を持つ
  • 資料請求、メルマガ登録、セミナー参加など

【検討段階】

  • 「他社と比較してどうか」「本当に必要か」を検討
  • 事例確認、無料相談、見積もり依頼など

【商談・契約段階】

  • 「この会社に決めよう」と意思決定
  • 具体的な条件交渉、契約締結

【継続・リピート段階】

  • 実際にサービスを利用し、関係が続く
  • 追加サービス購入、他社紹介など

従来のBtoBマーケティングの課題

この長いカスタマージャーニーにおいて、従来のBtoBマーケティングには大きな課題がありました。それは、各段階がバラバラに機能していて、つながっていないということです。

具体例で見てみましょう。

ある税理士事務所のケース(従来型)

  • 認知段階:Web広告やSEOでホームページに誘導
  • 興味段階:資料請求フォームから情報を取得
  • 検討段階:メールで時々情報を送る(でも開封されない)
  • 商談段階:タイミングが合えば問い合わせがくる
  • 継続段階:契約後は月次訪問とメール連絡

この流れの問題点は、興味段階から検討段階への移行がうまく機能していないことです。資料請求をした見込み客の多くは、そこで終わってしまいます。メールを送っても開封されず、関係性は途切れてしまうのです。

「認知→興味→検討→商談→契約」の顧客ジャーニー全体で活用可能

ここでLINEの真価が発揮されます。LINEは、カスタマージャーニーのすべての段階で効果的に機能するツールなのです。

【認知段階でのLINE活用】

  • Web広告やSEOからの流入先を「LINE友だち登録」に
  • 「無料チェックリストプレゼント」などで友だち追加を促進
  • メールアドレスよりも心理的ハードルが低く、登録率が高い

【興味・関心段階でのLINE活用】

  • ステップ配信で自動的に情報を届ける
    • 1日目:「ご登録ありがとうございます」
    • 3日目:「税理士の選び方3つのポイント」
    • 5日目:「お客様の声と事例紹介」
    • 7日目:「無料相談のご案内」
  • 高い開封率で確実に情報が届く
  • 見込み客の興味を徐々に高めていく

【検討段階でのLINE活用】

  • 1対1トークで個別の質問に対応
  • 「うちの会社の場合はどうなりますか?」といった具体的な相談にリアルタイムで回答
  • セグメント配信で検討度合いに応じた情報提供
    • 「無料相談に申し込んだ人」には事例を重点的に
    • 「資料をダウンロードした人」には料金情報を

【商談・契約段階でのLINE活用】

  • 商談日のリマインド配信
  • 必要書類の案内をLINEで送信
  • 契約書類の説明動画をLINEで共有
  • スムーズなやり取りで成約率向上

【継続段階でのLINE活用】

  • 決算時期のリマインド
  • 税制改正などの重要情報を即座に共有
  • 追加サービスの案内
  • 定期的な接点維持で解約率低下

このように、LINEは顧客ジャーニーの全段階において、一貫したコミュニケーション基盤として機能します。

Webサイトやセミナーで獲得した見込み客の受け皿として機能

多くの税理士事務所が、さまざまな集客施策を実施しています。

  • ホームページ制作とSEO対策
  • リスティング広告
  • セミナー開催
  • SNS運用
  • ポータルサイト掲載

これらの施策は、それぞれ「認知」や「興味」を生み出すのには有効です。しかし問題は、その後のフォローアップです。

従来は、これらの施策から得られた見込み客情報を「メールアドレス」として管理していました。しかしメールマーケティングの限界は先述の通りです。多くの見込み客は、1〜2通のメールを受け取った後、関係性が途切れてしまいます。

LINEを「見込み客の受け皿」として設定する戦略

すべての集客施策のゴールを「LINE友だち登録」に統一すると、劇的な変化が起こります。

【従来】

Webサイト訪問 → メールアドレス登録 → (開封されない…)

セミナー参加 → 名刺交換 → (フォローが途切れる…)

広告クリック → 資料請求 → (その後音沙汰なし…)

【LINE活用後】

Webサイト訪問 → LINE友だち登録 → ステップ配信で育成 → 商談化

セミナー参加 → その場でLINE登録 → フォローメッセージ → 関係継続

広告クリック → LINE登録で資料受取 → 個別質問対応 → 信頼構築

すべての入口から「LINE」というプラットフォームに集約することで、一貫した顧客体験を提供でき、見込み客を取りこぼすことなく育成できるのです。

商談前の育成フェーズで威力を発揮

BtoBマーケティングにおいて、最も重要でありながら、最も難しいのが「リードナーチャリング(見込み客育成)」です。

統計によると、展示会やセミナーで獲得したリード(見込み客)のうち、すぐに商談化できるのはわずか10〜20%程度と言われています。残りの80〜90%は「今すぐではないが、将来的には必要かもしれない」という潜在層なのです。

この潜在層を、適切なタイミングまで「温め続ける」のがナーチャリングです。しかし従来の手法では、これが非常に困難でした。

LINEによるナーチャリングの強み

LINEは、この「商談前の育成フェーズ」において、他のどのツールよりも優れた性能を発揮します。

1. 継続的な接点を維持できる

  • 週1回のペースで情報配信しても迷惑がられにくい
  • 高い開封率で確実に情報が届く
  • 見込み客の記憶に残り続けられる

2. 双方向のコミュニケーションが可能

  • 見込み客からの質問にリアルタイムで対応
  • 「この人、相談しやすいな」という印象を与える
  • 一方的な情報発信ではなく、対話を通じた信頼構築

3. 行動履歴に基づいた最適化

  • どのメッセージを開封したか
  • どのリンクをクリックしたか
  • どのくらいの頻度で反応しているか

これらのデータを元に、見込み客の興味度合いを把握し、最適なタイミングで商談化できます。

具体的なナーチャリングシナリオ例

【友だち登録直後】

「ご登録ありがとうございます!まずは『税理士選びで失敗しない7つのポイント』をお送りします」

【登録3日後】

「多くの経営者が抱える3つの税務の悩みとは?実際の事例をご紹介します」

→ 開封した人には次のステップへ

→ 未開封の人には別の切り口でアプローチ

【登録1週間後】

「弊所の特徴について動画でご説明します(3分)」

→ 動画を見た人はホット度高い→個別メッセージ送信

【登録2週間後】

「無料相談のご案内(残り3枠)」

→ 反応があった人を商談化

→ 反応がない人は引き続き育成

【登録1ヶ月後】

「既存のお客様の成功事例をご紹介」

→ 興味を持続させる

【登録2〜3ヶ月後】

月1回程度の有益情報配信

→ 関係性を維持し、「そろそろ税理士を」と思ったタイミングを逃さない

このように、見込み客の状態に応じて段階的に情報を提供し、自然な形で商談へと導くことができるのです。

既存顧客との継続的な関係構築ツールにも

LINEの価値は、新規顧客獲得だけにとどまりません。既存の顧問先との関係強化においても、強力な武器となります。

既存顧客とのLINE活用の価値

税理士ビジネスは、一度契約したら終わりではありません。むしろ、契約後の関係性こそが重要です。顧問契約は継続的な関係が前提だからです。

LINEで実現できる既存顧客サービス

1. タイムリーな情報提供

  • 税制改正の速報
  • 補助金・助成金情報
  • 決算期のリマインド
  • 提出書類の締切通知

2. コミュニケーションの円滑化

  • 「ちょっと聞きたいこと」に気軽に対応
  • 書類の不備確認も写真で送ってもらうだけ
  • 訪問前の予定確認もスムーズ

3. 付加価値サービスの提供

  • 経営に役立つ情報の定期配信
  • 業界トレンドの共有
  • セミナー・勉強会の案内

4. 関係性の強化

  • 誕生日や創業記念日のメッセージ
  • 年末年始の挨拶
  • 「いつも身近にいる税理士」というポジション確立

既存顧客のLTV(顧客生涯価値)向上

既存顧客との関係が強化されることで、以下のような好循環が生まれます。

  • 解約率の低下:関係性が強い顧客は解約しにくい
  • 追加サービスの購入:相続税対策、事業承継支援など
  • 紹介の増加:満足度が高い顧客は他社を紹介してくれる
  • 単価アップ:信頼関係があれば適正な価格を受け入れてもらえる

つまりLINEは、顧客一人あたりから得られる利益(LTV)を最大化するツールでもあるのです。

「マーケティング」と「カスタマーサクセス」の統合

従来、「新規顧客獲得」と「既存顧客維持」は別々の部門、別々の施策として扱われることが多くありました。

しかしLINEを活用すれば、一つのプラットフォームで両方を実現できます。

  • 新規見込み客の育成
  • 商談化と契約
  • 契約後のフォローアップ
  • 長期的な関係維持
  • 追加サービス提案
  • 紹介促進

これらすべてが、LINE上でシームレスにつながります。

BtoBマーケティングにおけるLINEの本質的な価値

ここまで見てきたように、LINEは単なる「連絡ツール」ではありません。それは、BtoBビジネスにおける顧客との関係性全体を管理し、強化するための統合プラットフォームなのです。

従来のBtoBマーケティングでは、

  • 認知段階では広告ツール
  • 育成段階ではメールツール
  • 商談段階では電話やメール
  • 契約後は訪問や電話

というように、段階ごとに異なるツールを使い分けていました。

しかしLINEなら、すべての段階を一貫して管理できます。見込み客がどの段階にいるのか、どんな情報に関心があるのか、いつ商談化すべきなのか。これらすべてがLINE上で可視化され、最適なアプローチが可能になるのです。

税理士法人にとって、LINEは「あったら便利なツール」ではありません。それは、顧客との長期的な関係構築を前提とするBtoBビジネスモデルにおいて、なくてはならない戦略的インフラなのです。

税理士サービスとLINEの相性が良い3つの理由

BtoBマーケティング全般でLINEが有効であることは理解できたとしても、「税理士という職種に本当に合うのか?」という疑問が残るかもしれません。

実は、税理士サービスには、LINEと非常に相性が良い3つの特性があります。この3つが揃っているからこそ、税理士法人にとってLINEは「あったら便利」ではなく「必須のツール」なのです。

理由①:継続的な関係性が前提のビジネスモデル

税理士サービスの最大の特徴は、「顧問契約」という長期的な関係性を前提としたビジネスモデルであることです。

顧問契約の特性

一般的な税理士の顧問契約は、事業年度に合わせて1年間が基本単位となります。しかし実際には、多くの企業が同じ税理士と数年、時には10年以上の長期契約を続けています。

ある調査では、税理士事務所の平均顧問先数は35.1件、個人事務所で14.6件というデータがあります。これらの顧問先の多くが、長期的な信頼関係のもとで契約を継続しているのです。

なぜ長期的な関係が重要なのか

税理士サービスが長期契約を前提とする理由は明確です。

  • 企業の財務状況を深く理解する必要がある
    • 過去の決算データ
    • 事業の成長履歴
    • 経営者の性格や判断傾向
    • 業界特有の商習慣
  • これらを理解するには、単発の契約では不十分です。
  • 継続的なサポートこそが価値
    • 決算は年に1回だが、相談事は随時発生
    • 税制改正への対応
    • 経営判断のアドバイス
    • 長期的な節税戦略の実行
  • 信頼関係の構築に時間がかかる
    • お金の話は非常にセンシティブ
    • 経営の内情を打ち明けるには信頼が必要
    • 「この人なら任せられる」という安心感

LINEの継続的なコミュニケーション機能が最適

この「長期的な信頼関係」を構築し、維持するために、LINEは理想的なツールです。

従来の電話やメールでは、「用事があるときだけ連絡する」という関係になりがちでした。決算時期、税務申告時期など、必要なときに連絡を取り合うだけの関係です。

しかしLINEを活用すれば、日常的な接点を持ち続けることができます。

LINEでの日常的な接点の例

  • 週1回の経営に役立つ情報配信
  • 税制改正のタイムリーな共有
  • 「今日は創業記念日ですね。おめでとうございます」といったパーソナルなメッセージ
  • ちょっとした質問への迅速な回答
  • 時には業界ニュースや補助金情報の共有

これらの小さな接点の積み重ねが、「いつも近くにいる頼れる専門家」というポジションを確立します。そして、この関係性こそが、長期契約の継続、追加サービスの購入、他社への紹介につながるのです。

他のBtoBサービスとの違い

例えば、Webサイト制作やシステム開発のような「プロジェクト型」のBtoBサービスと比較すると、税理士サービスの特殊性がよくわかります。

プロジェクト型サービスは、「依頼→制作→納品→完了」というフローで、基本的には一度契約が終われば関係も終わります。もちろんリピートや保守契約もありますが、日常的な接点は少ないのが一般的です。

一方、税理士サービスは「継続的なサポート」が本質です。いわば「伴走型」のビジネスモデルです。この伴走において、LINEというコミュニケーションインフラは、極めて効果的に機能するのです。


理由②:タイムリーな情報提供が価値になる

税理士の仕事において、「タイミング」は非常に重要です。そして、タイムリーな情報提供こそが、税理士の付加価値を大きく左右します。

税務・会計の世界は「時間制約」だらけ

税務には、さまざまな期限や締切が存在します。

  • 確定申告の期限(3月15日)
  • 法人税申告の期限(決算日から2ヶ月以内)
  • 消費税申告の期限
  • 源泉所得税の納付期限(毎月10日)
  • 年末調整の期限
  • 償却資産税の申告期限(1月31日)
  • 各種届出の期限

これらの期限を逃すと、加算税や延滞税が発生したり、優遇措置を受けられなくなったりします。期限を守らせることも税理士の重要な役割です。

また、税制改正や新しい補助金制度など、「知っていれば得をする、知らなければ損をする」情報も常に更新されています。

  • インボイス制度の開始
  • 電子帳簿保存法の改正
  • 事業再構築補助金の募集開始
  • 小規模事業者持続化補助金の公募
  • ものづくり補助金の情報
  • 新しい税額控除制度

これらの情報を「いち早く、わかりやすく」顧客に伝えられる税理士は、高く評価されます。

従来の情報提供手段の限界

しかし従来の方法では、タイムリーな情報提供が困難でした。

郵送での情報提供

  • 印刷・郵送に時間がかかる
  • 到着まで数日かかる
  • コストも高い
  • 緊急性の高い情報には不向き

メールでの情報提供

  • 送信は早いが、開封されない(開封率20%程度)
  • 大量のメールに埋もれて見落とされる
  • 緊急性が伝わりにくい

電話での情報提供

  • 一件一件かけるのは非現実的
  • 不在の場合は伝わらない
  • 記録が残らない

月次訪問での情報提供

  • 月に1回では遅すぎる
  • タイムリー性が失われる

税制改正、補助金情報などの速報性がある情報をLINEで配信することで価値提供

LINEなら、これらの課題を一挙に解決できます。

LINEによるタイムリーな情報提供の実例

事例1:インボイス制度の準備情報

【重要】インボイス制度まであと3ヶ月!

◯◯社長、インボイス制度への対応準備はお済みですか?

まだの方は以下を至急ご確認ください:

✅適格請求書発行事業者の登録申請

✅請求書フォーマットの変更

✅会計システムの設定確認

詳しい対応方法はこちら↓

[リンク]

ご不明点はこのトークでお気軽にご質問ください!

このメッセージを全顧問先に一斉配信すれば、数分で全員に重要情報が届きます。しかも開封率は60〜80%。ほぼ確実に情報が届くのです。

事例2:新しい補助金情報の速報

【速報】事業再構築補助金の新規公募開始!

◯◯社長の会社も対象になる可能性があります。

今回の公募のポイント:

・申請期限:◯月◯日まで

・補助上限:最大5,000万円

・当事務所でも申請サポート可能です

興味がある方はお早めにご連絡ください。

先着順での対応となります。

このような速報性の高い情報を、タイムリーに届けられることで、「あの税理士は、いつも有益な情報をいち早く教えてくれる」という評価につながります。

事例3:決算月の個別リマインド

セグメント配信機能を使えば、顧問先ごとに異なる情報も自動配信できます。

【リマインド】来月が御社の決算月です

◯◯社長、2月が決算月ですね。

以下の書類のご準備をお願いします:

✅銀行残高証明書

✅棚卸表

✅売掛金・買掛金の残高確認

✅固定資産の増減資料

提出期限:◯月◯日まで

ご質問はこのトークでどうぞ!

各社の決算月に合わせて自動でリマインドを送ることで、書類提出の遅れを防ぎ、スムーズな決算業務が実現します。

「情報の速さ」が信頼と満足度を生む

経営者にとって、「知らなかった」「間に合わなかった」は大きなストレスです。

  • 「あの補助金、申し込めば良かった…」
  • 「期限までに届出を出し忘れて、控除が受けられなかった…」
  • 「税制改正を知らずに、損な選択をしてしまった…」

こうした後悔を防ぐことができる税理士は、顧客満足度が高く、長期契約が続きます。

逆に、「こんな制度があったなんて知らなかった。税理士なのになぜ教えてくれなかったんだ」という不満は、解約の大きな理由になります。

LINEを活用したタイムリーな情報提供は、顧客満足度を高め、解約率を下げ、LTV(顧客生涯価値)を最大化する戦略的な施策なのです。


理由③:個別対応が求められるサービス

税理士サービスの3つ目の特性は、「企業ごとに状況が異なり、オーダーメイドの対応が求められる」ことです。

税務に「万能の正解」は存在しない

同じ業種、同じ規模の会社でも、税務上の最適解は異なります。

  • 経営者の年齢や家族構成
  • 将来的な事業承継の計画
  • 現在の資金繰り状況
  • 設備投資の予定
  • 海外取引の有無
  • グループ会社の構成
  • 過去の決算状況
  • 今後の事業拡大計画

これらすべてが絡み合って、「この会社にとって最適な税務戦略」が決まります。つまり、同じ質問でも、企業ごとに答えが変わるのが税理士サービスの本質なのです。

一斉配信だけでは不十分

税務情報を一斉配信することには価値があります。しかし、それだけでは不十分です。なぜなら、

「うちの会社の場合はどうなの?」 「この制度、うちは使えるの?」 「具体的にどう申請すればいいの?」

といった個別の疑問に答える必要があるからです。

1対1トークでの個別相談との親和性が高い

ここでLINEの「1対1トーク」機能が威力を発揮します。

LINE公式アカウントには、各友だちと個別にチャットできる機能があります。これを活用すれば、まるで経営者の「プライベート相談窓口」のような使い方ができるのです。

個別相談の実例

【顧問先からの質問】

社長:「先生、この間配信されてた設備投資減税、うちも使えますか?」

税理士:「◯◯社長、ご質問ありがとうございます!

御社の場合、今期の売上が前年比で増加していますので、

対象になる可能性が高いです。

購入予定の設備は何でしょうか?」

社長:「新しいトラックを2台購入予定です」

税理士:「トラックであれば対象になります!

購入前に税務署への届出が必要ですので、

来週の訪問時に詳しくご説明しますね。

必要書類もこちらで準備しておきます👍」

社長:「助かります!よろしくお願いします」

このように、リアルタイムでの質疑応答が可能になります。

従来の個別対応との比較

電話メールLINE
気軽さ△(相手の時間を奪う)○(ただし形式的)◎(最も気軽)
即応性◎(すぐつながれば)△(返信に時間差)○(スキマ時間で対応)
記録性×(残らない)◎(メール保存)◎(トーク履歴)
資料共有×(別手段が必要)○(添付ファイル)◎(写真でパッと送れる)
心理的ハードル高い低い

LINEは、気軽さと記録性を両立している点が優れています。

個別対応の効率化も実現

「個別対応が必要なら、結局人手がかかるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、LINEなら効率化も可能です。

1. よくある質問は自動応答で 「確定申告の期限はいつですか?」 「源泉徴収票の見方を教えてください」

こうした頻出質問には、自動応答を設定しておけば、即座に回答できます。

2. テンプレート回答の活用 似たような質問には、テンプレート回答を用意しておき、個別の部分だけカスタマイズして送信。大幅な時間短縮が可能です。

3. スタッフとの分担 複雑な質問は税理士本人が、簡単な質問は事務スタッフが対応、というように役割分担もしやすくなります。

個別対応こそが差別化の源泉

価格競争が激しい税理士業界において、「丁寧な個別対応」は最大の差別化要因です。

「うちの状況をちゃんと理解して、的確なアドバイスをくれる」 「質問すると、すぐに答えてくれる」 「いつでも相談できる安心感がある」

こうした評価が、長期契約の継続、追加サービスの購入、そして他社への紹介につながります。

LINEの1対1トーク機能は、この「丁寧な個別対応」を、持続可能な形で提供できる仕組みなのです。


以上の3つの理由から、税理士サービスとLINEは極めて相性が良いと言えます。

  • 継続的な関係性が前提→LINEの日常的な接点が信頼関係を強化
  • タイムリーな情報提供が価値→LINEの高い到達率で確実に届く
  • 個別対応が求められる→1対1トークで気軽に相談できる

この3つが揃っているからこそ、税理士法人にとってLINEは、単なる連絡ツールではなく、顧客との関係性を最大化し、事業を成長させる戦略的インフラとなるのです。


BtoBでのLINE活用の成功パターン

税理士サービスとLINEの相性が良いことは理解できたとして、「では具体的にどう活用すれば成功するのか?」という疑問が残ります。

ここでは、BtoB、特に税理士法人で実際に成果を上げているLINE活用の成功パターンを4つのステップで解説します。

ステップ①:無料診断・チェックリストの提供で友だち登録促進

LINE活用の第一歩は、「友だち登録」を獲得することです。しかし、「友だち追加してください」とだけ言っても、なかなか登録してもらえません。

そこで効果的なのが、「リードマグネット(見込み客を引きつける無料特典)」の提供です。

税理士法人に効果的なリードマグネット例

1. 無料診断ツール

  • 「あなたの会社の節税余地診断(3分)」
  • 「税理士変更チェックリスト」
  • 「決算前にやるべきこと診断」
  • 「補助金適性診断」

2. ダウンロード資料

  • 「中小企業の節税対策10の方法(PDF)」
  • 「はじめての税理士選び完全ガイド」
  • 「確定申告でミスしがちな5つのポイント」
  • 「創業時に知っておくべき税務の基礎知識」

3. チェックリスト

  • 「決算前チェックリスト30項目」
  • 「税務調査に備える準備リスト」
  • 「年末調整の完全チェックリスト」
  • 「法人設立時の届出書類一覧」

効果的なリードマグネットの条件

成功するリードマグネットには、3つの条件があります。

すぐに価値を実感できる ダウンロードしてすぐ、「これは役に立つ」と感じてもらえる内容。長大なPDFよりも、すぐ使えるチェックリストの方が喜ばれます。

ターゲットの悩みに直結している 「税理士を探している経営者」なら「税理士選びのポイント」 「決算が近い経営者」なら「決算前チェックリスト」 というように、タイミングとニーズに合致していることが重要です。

専門性がアピールできる 無料でも、「この人は専門家だ」「この事務所は信頼できそうだ」と感じてもらえる品質が必要です。

友だち登録への誘導設計

リードマグネットを用意したら、以下の導線で友だち登録を促進します。

【Webサイトでの誘導例】

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※個人情報の入力は一切不要です

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成功のポイント

  • 「メールアドレス登録」よりも「LINE友だち追加」の方が心理的ハードルが低い
  • 「すぐに受け取れる」という即時性を強調
  • 「いつでもブロック可能」と伝えて安心感を与える

ステップ②:ステップ配信で信頼関係を構築

友だち登録を獲得したら、次は「ナーチャリング(見込み客育成)」のフェーズです。ここで活躍するのが「ステップ配信」機能です。

ステップ配信とは、友だち追加をきっかけに、あらかじめ設定したシナリオに沿って自動的にメッセージを配信する機能です。

税理士法人の基本ステップ配信シナリオ例(14日間)

【Day 0:登録直後】

ご登録ありがとうございます!

◯◯税理士事務所の◯◯です。

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【Day 1】

はじめまして、代表税理士の◯◯です(動画2分)

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【Day 3】

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【Day 5】

【お客様の声】製造業A社様の事例

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A社長のインタビュー動画はこちら↓

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【Day 7】

税理士選びで失敗しないための5つのポイント

多くの方が税理士選びで後悔しています。

失敗しないためのチェックポイントを

まとめました↓

[記事リンク]

【Day 10】

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※このメッセージ以降は、

月1回程度の有益情報配信に切り替わります

ステップ配信成功のポイント

段階的に関係を深める設計 いきなり売り込まず、価値提供→信頼構築→提案、という流れ

適切な配信間隔 毎日だとうざがられ、間隔が空きすぎると忘れられる。2〜3日おきが理想的

行動を促すCTA(Call To Action) 各メッセージに「次に何をすべきか」を明示

動画・画像を活用 テキストだけより、動画や画像を入れた方が開封率・反応率が高い


ステップ③:セグメント配信で最適なタイミングで情報提供

ステップ配信で基本的な育成ができたら、次は「セグメント配信」で、さらに精度の高いアプローチを行います。

セグメント配信とは、友だち全員に同じメッセージを送るのではなく、属性や行動履歴に応じて配信先を絞り込む手法です。

税理士法人での効果的なセグメント例

1. 業種別セグメント

  • 製造業向け:設備投資減税の情報
  • 飲食業向け:インボイス制度の対応
  • 不動産業向け:不動産所得の節税対策
  • IT業向け:研究開発税制の活用

2. 決算月別セグメント

  • 3月決算の会社:2月にリマインド配信
  • 12月決算の会社:11月にリマインド配信

3. 関心度別セグメント

  • 資料をダウンロードした人:より詳しい情報を配信
  • 動画を視聴した人:事例を中心に配信
  • リンクをクリックした人:商談化を促すメッセージ
  • 未開封が続く人:配信頻度を下げる

4. 契約状況別セグメント

  • 既存顧問先:決算リマインド、税制改正情報
  • 見込み客:事例紹介、無料相談案内
  • 過去に問い合わせした人:再度アプローチ

セグメント配信の具体例

【12月決算の会社のみに配信】

◯◯社長

来月が御社の決算月ですね。

期末の節税対策として、

以下をご検討されましたか?

✅ 決算賞与の支給

✅ 小規模企業共済への加入

✅ 経営セーフティ共済の掛金前納

✅ 30万円未満の資産購入

まだの方はお急ぎください!

決算日までに実行する必要があります。

ご相談はこのトークで承ります💬

このように、その人にとって本当に必要な情報だけを、必要なタイミングで届けることができるのがセグメント配信の強みです。

セグメント配信のメリット

  • 開封率・反応率の向上:自分に関係ある情報だから読まれる
  • ブロック率の低下:無関係な情報を送らないから嫌われない
  • メッセージ数の削減:全員に送らないので配信コスト削減
  • 成約率の向上:ニーズに合った提案ができる

ステップ④:商談化のタイミングを見極めてアプローチ

最後のステップは、育成した見込み客を「商談」へと導くことです。ここで重要なのが、「タイミングの見極め」です。

ホットリード(今すぐ客)を見極めるシグナル

LINE上での行動履歴から、「この人は今、検討度が高い」というシグナルを読み取ります。

高い関心を示すシグナル

  • ✅ 配信メッセージを連続で開封している
  • ✅ 事例紹介のリンクをクリックした
  • ✅ 料金ページを閲覧した
  • ✅ 無料相談の案内を開封した
  • ✅ 1対1トークで質問してきた
  • ✅ 資料を複数ダウンロードした

これらのシグナルが複数見られたら、商談化のタイミングです。

効果的な商談化アプローチ

◯◯社長

いつも配信を読んでいただき

ありがとうございます!

先日の節税対策の記事、

参考になりましたでしょうか?

もし、御社の状況に合わせた

具体的な節税プランを知りたい場合は、

「60分無料相談」をご活用ください。

御社の決算書を拝見しながら、

具体的なアドバイスをさせていただきます。

ご希望の方はこのトークで

「無料相談希望」とご返信ください📝

お待ちしております!

商談化成功のポイント

押し売り感を出さない 「売り込み」ではなく「お役立ち」のスタンスを維持

具体的な価値を提示 「相談できる」だけでなく「何が得られるか」を明示

心理的ハードルを下げる 「無料」「気軽に」「まずは話だけでも」という表現

行動を簡単にする 「このトークで返信」「ボタンをタップ」など、次の行動を明確に

成約に至るまでのフォロー

無料相談の申し込みがあったら、以下のフローで確実に成約へ導きます。

【申し込み直後】

ご予約ありがとうございます!

日程調整のため、以下をお聞かせください:

・ご希望の日時(第3希望まで)

・現在のご状況(簡単で構いません)

【予約確定後】

◯月◯日◯時で承りました!

当日は以下をご準備ください:

・直近の決算書(あれば)

・現在お困りのこと

オンライン面談のURLはこちら↓

[Zoom URL]

【前日リマインド】

明日◯時からの無料相談、

お待ちしております!

準備いただく資料:

・決算書(あれば)

お忙しいとは思いますが、

よろしくお願いいたします。

【相談後フォロー】

本日はありがとうございました!

お話しした内容をまとめた

「御社専用の節税提案書」を

3日以内にお送りします。

ご不明点がありましたら

いつでもこのトークでご質問ください💬

このように、LINEを使って商談前後のフォローを丁寧に行うことで、成約率を大幅に高めることができます。


4つのステップまとめ

ステップ① 友だち獲得

↓(リードマグネットで登録促進)

ステップ② 信頼構築

↓(ステップ配信で自動育成)

ステップ③ 精度向上

↓(セグメント配信で最適化)

ステップ④ 商談化

↓(タイミング見極めて提案)

【成約】

この4ステップを実行することで、税理士法人は安定的に新規顧問先を獲得できるようになります。

しかも、一度仕組みを作れば、その後は半自動的に見込み客を育成し、商談化できるのがLINEマーケティングの最大の魅力です。