「もっと早く知っていれば…」を防ぐために

フリーランスとして独立した後、多くのエンジニアが口をそろえて言うのがこれです:

「会社員のうちに、もっと準備しておけばよかった」

この一言に集約されるのは、案件獲得やスキルアップの話ではありません。 実はほとんどの後悔は、お金・信用・制度といった“生活と仕組み”の話です。

この記事では、独立後に「こんなはずじゃなかった…」とならないために、会社員のうちに必ずやっておくべき3つの準備を、現場の実例と共に掘り下げて解説します。

1. クレジットカード/ローン審査は会社員時代がラストチャンス

✅ フリーランスは“信用情報の壁”にぶつかる

どれだけ年収があっても、フリーランスになった瞬間に「社会的信用」は急落します。 その結果、以下のような“生活の足回り”に深刻な支障が出るのです。

  • クレジットカード審査に落ちる(特に法人・事業用カード)
  • 限度額が20〜30万円程度までに制限される
  • 住宅・自動車ローンの審査で「職業:個人事業主」が即NGになる

フリーランス1年目にこの現実を突きつけられ、「引っ越しできない」「クレカが使えない」「保険加入が通らない」などの“信用貧困”に陥る人は少なくありません。

▶今やるべき具体策

  • 年会費無料でも限度額が高いカード(例:楽天プレミアム、JCB W、三井住友NL)を最低2〜3枚確保
  • 将来的に住宅・車のローンを検討しているなら、フリーランスになる前に審査を通しておく(契約→勤務証明書でOK)
  • freeeカードやセゾンプラチナビジネスなど、個人事業主向けのビジネスカードも作成を検討

2. フリーランス用の保険は「会社員時代」こそ入りやすい

✅ “健康なうちに”が鉄則。保険はタイミング勝負

保険は入ろうと思った時にはもう遅い、という言葉は事実です。特にフリーランスになると以下のようなハードルが待ち構えています。

  • 「自営業=収入不安定」と見なされ、加入時の審査がシビアになる
  • 就業不能保険などは「過去の収入実績」が必要になるが、独立初年度は実績が乏しい
  • 健康告知の項目でNGになりやすく、ちょっとした通院歴でも不利に

▶今やっておくべき保険関連の対策

  • 所得補償保険(就業不能保険):ケガや病気で働けなくなったときの備え
  • がん保険・医療保険:フリーランスにとっては「収入=生存手段」、万一に備えておく
  • 小規模企業共済/国民年金基金:開業届を出す前でも事前の調査・資料取り寄せを

→ フリーランスになると「会社が守ってくれる安心」がゼロになる。だからこそ、今のうちに自衛の盾を持っておくべきです。

3. 会計ソフトと口座の分離で“確定申告地獄”を回避せよ

✅ フリーランス1年目の2月、99%の人が陥る混乱

独立した最初の確定申告期、SNSでよく見かけるのがこの言葉です:

「全部手動で帳簿つけてたら時間が溶けた」 「何が経費かも分からないし、レシートが見つからない」 「銀行明細が私用とごちゃ混ぜで訳が分からない」

これは、“開業前に仕組みを作っていなかった”ことが原因のほぼすべてです。

▶今からできる会計準備

  • freee会計/マネーフォワード確定申告などを先に触っておく(無料版で十分)
  • プライベート用と完全に分けて、フリーランス用の銀行口座とクレカを用意
  • 月1回、領収書と口座の履歴をもとに「ミニ記帳タイム」を習慣化

→ これだけで確定申告の作業量が90%減ると断言できます。後からでは間に合いません。

まとめ:「案件」より先に「仕組み」を整えるのが、成功する独立の鍵

  • 独立後の本当の敵は「スキル不足」ではなく、「信用と制度の未整備」
  • 会社員の“社会的な肩書き”は、実は人生で最も強い交渉力を持つ
  • いまこの瞬間しか通用しない審査・加入・設定がある

👉 案件探しは後でも間に合います。今日やるべきは、この3つの“地盤固め”です。

1年後のあなたが、「あの時やっておいてよかった」と思える準備、今すぐ始めましょう。